その1に修理記事を書きましたが、以前はメガドライブをXMD-2経由のS端子出力でテレビに接続しており、画質含めそれなりに満足していました。
しかしXMD-2のS端子出力を修理した後も、(S端子搭載の)テレビが自部屋になく、メガドライブとモニタとの接続はコンポジット(RCA端子)出力のままでした。
コンポジット(RCA端子)出力は手軽に旧ゲーム機の映像をTV出力できる反面、画質は今一つで「せっかくXMD-2直したのに活かせてないなぁ」とややストレスに・・。
と言うことで、使ったことがないXMD-2のアナログRGB出力を含め、モニタ接続時の画質向上(S端子/RGB化)を目指してみました。
とはいうものの・・
現在、S端子(S/S1/S2映像端子)を搭載したテレビは中古市場以外はほぼ出回ってない状況で、
私が使っている マルチ入力モニタと呼ばれる製品はコンポジット(RCA端子)/RGB/HDMI入力に対応した優れモノですが、
残念ながらS端子(S/S1/S2映像端子)には対応していません。
色々調べたところ、現在S端子からの映像を利用する場合、アップスキャンコンバータと呼ばれる装置を使ってアナログRGBまたはHDMIに変換するか、アダプタでRCA端子に変換して対応モニタで表示するしかなさそうでした。
所持しているレトロゲーム機器のうち、PCエンジン以外(プレイステーション、スーパーファミコン、メガドライブ)は全てS端子でテレビにつないでいた事もあり、前者の装置を購入して実際に試してみました。
○購入したもの
アップスキャンコンバータ(S端子⇒RGB変換)
TEC TSCVGA2 ビデオコンバーター
と言うわけで、プレイステーション、スーパーファミコン、メガドライブでそれぞれ試してみました。
セールで安かったので購入(普段は3千5百円くらい)。輸入品のようですが、国内代理店が日本語マニュアルを添付しているので取り付けや操作に迷うことはありませんでした。
さて、使ってみてどうでしょう?
○プレイステーション(バイオハザード2)
色ムラが気になりますが、解像度はそれなりに高く、各画素の表示自体はきちんと出ています。
表示遅延も気になるレベルではありませんでした。普通に使えそうです。
○スーパーファミコン(ダビスタ96)
解像度は良く、さすがS端子と言った感じなのですが、肝心の色が出ておらずモノクロ表示です。
別のモニタに替えたり、モニタの設定や装置の解像度など色々いじってみたのですが結果は変わらず・・。
うーん。当時普及していたスーパーファミコンがNGとなると、なんだか嫌な予感がします。
○メガドライブ(メガCDシステム画面)
嫌な予感が的中してしまいました。同じく色が出ていません。解像度はコンポジットより断然良く、ドット感も判りやすいので、非常に残念です。
あきらめきれず・・と言うわけではないのですが、↓サイトで紹介されていたメガドライブ用のS端子ケーブルを自作して試してみました。
○人生に疲れた男のblog
メガドライブ本体への改造なしでS端子出力を行うケーブルを製作
XMD-2があるのに何故?って感じなのですが、故障した場合に備えて予備として1本作っておくのも良いかと・・(単に作りたかっただけでは?)
DIN8プラグはU型を使う必要があるのですが、全く見つけられなかったので、共立エレショップで他の部品と共にDIN 8P C型を購入して、
↓のように実機に合わせて穴の位置をルータで削りつつ調整。最後パテで固めてU型(相当品?)に・・。
何とかDIN 8Pプラグ内に収めて・・完成!
REGZAで表示。画質はXMD-2のS端子出力と同等な気が。これ凄いよ!
で・・肝心のTSCVGA2によるRGB出力は・・ダメじゃん!!
結論:TEC TSCVGA2 ビデオコンバーターはプレイステーション専用だと割り切った方がよさそう・・。
現在市販されているS端子対応のアップスキャンコンバーターは、機器による相性があり、個人的にはあまりお勧めできないなぁ、と言うのが今回の結果です。
アップスキャンコンバーターはさまざまな製品が出ておりますが、ユーザーレビューや口コミを見ると、
今回の検証と似た結果(メガドライブでモノクロ表示になる等)の書き込みが散見されており、現時点では積極的に選ぶ理由はなさそうです。
結論:S端子表示を真面目に行う場合、中古のテレビを入手するのが一番!
ですかね・・?(身も蓋もない結果ですが・・)
次はRGB編です。(S端子は少々残念な結果でしたが、次こそ!)
XMD-2にはアナログRGB出力もあり、スキャン周波数=15KHzに対応したモニタと変換アダプタがあれば、RGB表示を行うことが可能です。
現行製品で15KHzに対応したモニタを調べてみたところ、センチュリー製の8インチモニタが対応しているようで、ぜひ欲しい!と思った(=思っている)のですが、色々趣味で散財していたこともあり、購入には踏み切れず・・。
○D-sub15pinメス-D-sub(HD)15pinメス変換アダプタ
SANWA製 AD-D15NE
○15KHz対応モニタ
センチュリー製 LCD-8000V2B
そんな中見つけたのが中華製のアップスキャンコンバータ(GBS-8200)です。
価格は2千円ちょっとくらい。複数の販売元から製品化(コピー商品化?)されており、いかにも中華的な怪しさ満点な状況・・。
多くが船便で発送後、到着まで2週間以上かかると言う中で国内発送(アマプラ扱い)で翌日配送な販売店があり、悩んだ末、購入することに・・
○購入品はこちら
McbazelアーケードゲームRGB/CGA/EGA to VGA HDコンバータ
S端子の件でアップスキャンコンバータには良い思い出がなかったと言うのに・・
と言うわけで無事届きました!
基板は静電気防止用の袋に入っており、エアキャップでの梱包のみでしたが、特に破損もせずきちんと配送されました。(配送業者さまのおかげです)
付属品は電源引き出し用の2Pケーブルと、RGBS(RGB HV)入力用の8P(6pin)ケーブルのみで取扱説明書の類は一切なし。シルク印刷を見て勝手に使ってね!と言うスタイルです。
シルク印刷された製品名はGBS 8200 V4.0。その下に20191018(製造日?)とありました。
電源部にはDCプラグ(外径:Φ5.5、内径:Φ2.1)が実装されており、5V~12V(外:マイナス極、中:プラス極)のACアダプタが使えます。ウチにあった5V~12VのACアダプタを差してみましたが、いずれも利用可能でした。
現在は秋月の6V 2A出力の物を使ってます。(たまたま余っていたので)
入力/出力用にミニ D-sub15pin端子x2と、Y/Pb/Pr入力用のRCAプラグ、RGBS(RGB HV)入力用の8Pの基板コネクタが実装されており、利用時に、それぞれ接続すれば良いようです。
さっそくXMD-2のRGB端子とつないで電源を入れると・・無事画面が出ています!
色が薄かったり画面の比率が16:9だったり・・は、モニタ側の設定で4:3表示としてカラーバランスで調整。基板側のMENUボタンを押してPicture設定で明るさ、コントラスト等を調整。Geometry設定でH/Vサイズと位置を調整。この辺りは環境に合わせて色々いじってみると良さそうです。
画像では縦ノイズが若干出てますが、モニタ側の明るさ設定で目立たなくできますし、色ズレもなくドットもくっきりして、コンポジット(RCA端子)とは比べ物になりません。
こうなってくると、XMD-2を介さずメガドライブのDIN8Pからの直接出力で画面が出るか確認したくなってきます。
さっそくブレッドボードでRGBS出力を検証してみました。
メガドライブ側の回路図や結線方法については下記のサイトを参考にさせて頂きました。貴重な情報ありがとうございます。
○TOKYO RGB HOSPICE
メガドライブ DIN8 Pin情報
○16BitMD
メガドラRGB出力
○てきとうなブログ
マルチAV系めも(4)
まず、DIN 8PからのRGB信号をそれぞれ470μF+75Ω抵抗で終端処理してGBS-8200のRGB信号に入力。DIN8 Pin3のコンポジット(Video)信号を同じくGBS-8200のSync入力に接続してみたところ、
いちおう表示は出たのですが、数秒に一度、画面の同期がずれて盛大にブレました。
様々なサイトで、複合同期信号としてDIN8 Pin3のコンポジット(Video)信号をそのまま使うとあり、当初は原因がよく判らなかったのですが、
GBS-8200の使い方を色々調べたところ、Video信号を使う場合、同期信号分離回路を通してやらないとNGとの情報を見つけました。(感謝!)
○FUJIMOの部屋
RGB to VGA GBS8200 コンバータ を古いゲーム機で使いたい
Video信号の代わりと言うことでDIN8 Pin8のCSync信号をGBS-8200のSync入力に接続してみたのですが、どうやらこの信号もそのままでは「No Signal」表示・・。
落ち着いて上記のサイトを見直していたところ、16BitMDさまの情報に複合同期信号は負理論(TTLレベル)であり、
75Ωの抵抗と電解コンデンサでの直流成分カットを行えばMSXでの同期出力と同等に扱えるとの記載があり、
試しにDIN8 Pin8のCSync信号にRGB信号と同等の終端処理を介してGBS-8200のSyncに入れてみたところ・・。
出ました!(デジカメのシャッター速度の関係で盛大にモアレも出てますが・・)
その後、ケーブル長やGND接続など色々見直して、かなり奇麗にRGB表示ができるようになりました。
【2020/12/29追記】
CSync信号に関しては、RGBとは信号レベルが違うため75Ωではなく680Ω程度の抵抗器を入れて(GBS側のR34=1kΩとで)分圧するのが安全なようです。いずれにせよ終端処理が必要になるようです。
せっかく色々検証したのでケーブル化してしまいましょう。
DIN8 C型⇒U型への改造が面倒だったこともあり、Super 32Xに付属するDIN8⇔miniDIN9変換ケーブルを使うことでメガドライブ1/メガドライブ2共用で作ってみました。
○回路図(今回検証した範囲では動作してますが、確実に動くかは不明・・)
MD2のminiDIN 9P情報は以下のサイトを参考にさせて頂いております。
○TOKYO RGB HOSPICE
メガドライブ2 miniDIN9 Pin情報
部品は主に秋月電子通商で購入しました。
○利用部品一覧
・電解コンデンサ 470μF 4個
・カーボン抵抗(1/6W) 75Ω 100本入り
・カーボン抵抗(1/6W) 680Ω 100本入り
・miniDIN 6Pソケットメス
・GPS用 ミニDIN(6P)変換ケーブル
・2.1mm標準DCジャック
・電源スイッチ
・miniDIN 9Pケーブル(オス-オス)
あとは、裸の基板のままだと動作中にショートしたり危ないため保護ケースとしてダイソーのコレクションケースを購入。また、信号終端(コンデンサ+抵抗)格納用に印鑑ケースも買いました。
○制作例
印鑑ケース内の出っ張りをルーターで削り、コンデンサ+抵抗を4つ格納してそれぞれ各RGB信号とCS信号(+GND)に接続しています。
miniDIN 9Pケーブル(画像右)側がメガドライブに接続する方で、GBS-8200側は秋月で購入したGPS用ミニDIN(6P)変換ケーブルを接続しています。このミニDIN変換ケーブルは細くて取り回しが良い半面、信号減衰?があるようなので60cmくらいにカットして使っています。
メガドライブ側のGNDはminiDIN9Pジャックのフレームにアルミテープでコードを貼って引っ張りだしてます。(↓こんな感じ)
ケースの加工です。
基板を収めてみたら思ったより底が深く、メニュー設定時の操作性を考慮して1.5cmくらい丈を詰めています。
定規で線を引いてロールカッターでカット。軽くて柔らかい素材(バルサ材に近い?)なので、穴あけや研磨にルータを使った以外は、ロールカッターと彫刻刀でスパスパ加工できました。
仕上げにダイソーの「インテリアシート(木目調)」を貼って完了。
ケース側面にD-sub15pin端子アクセス用の穴をあけXMD-2と接続するようにしています。また、今回作成したRGBケーブル用にminiDIN 6Pソケットを設けてあり、そこを介してRGBケーブルと基板上のRGBSコネクタと接続できるようにしています。
出力端子側には、RGBモニタを接続できるように穴をあけてあり、DCジャックとスイッチを設けて電源をON/OFFできるようにしています。
以上で完成です。
今回ざっと環境を構築してみた感じだと、
マルチモニタと呼ばれる製品と組み合わせることで安価にレトロゲーム機器のRGB出力環境を得られるのは魅力だと思います。
画質向上の判りやすい例だとフォント表示ですが、コンポジット(左)だと文字がつぶれて色がにじんでます。一方、RGB(右)は色にじみも少なくスッキリしています。
さらに言うと、コンポジットはこれ以上の向上が難しいのですが、RGB出力は設定次第で改善できる余地があります。(画像はSharpness=2なので9まで上げるとドットがよりハッキリします)
安価なだけに画質はそれなり(縦線ノイズ見えたり)ですが、設定やノイズ対策で改善したりと、それら含めて納得できる人も多いかと思います。
とは言いつつ、最近ではアナログRGB端子もPCモニタ以外ではHDMI端子に置き換わっていますので、
今後はHDMI出力できるアップスキャンコンバータの方に需要が出てきそうな気もしています。
個人的には、あきばお~の7inch+2,000円少々でコンポジット(RCA端子)接続とは、比較にならないほどの画質向上が実現できて満足しています。
ダイソーのコレクションケースがサイズぴったりで○。縦置きもOK。
自作RGBケーブルで机上もスッキリ!
って、当初の目的だったXMD-2の活用から遠ざかっているような・・?
【2020/12/6追記】PCエンジンCD-ROM2を修理しました。(ミニはいつやるんでしょう?)
○PCエンジンの動作保全について その1(2020/11/25~12/5)