2020年は、メガドライブミニ対応のゲームパッドや実機の修理をずっとやっていたのですが、
CASIO PB-1000 Forever!のJun AmanoさんからPB-1000対応の新作ソフトが出たとの連絡があり、久しぶりに引っ張り出してみました。
PB-1000Cを1台、PB-1000は2台所持しているのですが、そのうち1台が変わり果てた姿で発掘されました。・・あれ?(汗)
当時のメールやHDDに残っていた資料を確認したところ、2009年~2011年頃にかけてジャンク品のPB-1000を復活させようとフル改造していたモノでダメになったフラットキーを再生しようとした途中で力尽きたことを思い出しました。
実は元々持っていたPB-1000(学生時代に購入したもの)は蝶番がダメージを受けており、電源は入りますがメニューキーが接触不良で効いたり効かなかったりと不安定となっており、いつか修理するつもりで、その調査と訓練?のため、ジャンク品の再生をしていたわけですが、
約9年も放置してました。
・・ダメな人間ですみません。
と言うことで9年越しで続きをやることになりました。
このジャンク品のPB-1000は、HD61開発時にとある方より頂いたもので、電源ONするものの不安定(画面消えたり)、MENUキーやLCKEY、方向キーなどが効かなかったり等、
明らかにLCD-CPU基板間の32Pin接続ケーブルがダメージを受けており、色々修繕や改造を行っていました。
経緯をおさらいすると・・
○修理内容
(1)電源が入らなかったり、タッチキーの不調は、板間32Pコネクタをジャンパ線をハンダ付けして修理
総本山的な情報サイトAndreas Wichmann氏のPB-1000ページにある、
Casio Connectにある情報を元に、
LCD-CPU基板間の32Pinコネクタ端子にパッチを当てて凌いでいたのですが、一時的に良くなるものの、だんだん悪化していってしまい、
仕方なく根本対策として、ケーブル直付けにしたものです。
基板間のフラットケーブルの修理については、上記のようなケーブル張り直しを検討する前に、まずは熱圧着の再実施をした方が良いと思います。
最近では専用の工具?も売っており、以前ほど実施は難しくないかと思います。(それでダメならケーブル張り直しを検討する)
○熱圧着修理用工具
半田ごて交換ヒーター 40W用 390円
ヒーター用ゴム(5個入) 199円
(2)フラットキーは、基板との圧着部が弱かったのですが、何度も分解しているうちに剥がれてしまったため、仕方なくコードを引っ張り出しました。
これも(1)と同じで、熱圧着やコンダクティブペンの利用などを検討してからが良さそうです。
(3)フラットキーは、適当な代替スイッチがなかったので、DIP SWで代用しています。
あくまで緊急措置として実施したつもりだったのですが、そのまま9年も放置してしまっておりました・・(反省)
(4)上記の改造で機能的に復帰したので、RAMを128KBに増設しています。
回路図(と言うか配線図)は下記です。
なお、このメモリ増設改造は間違ってHM628128とPin互換性のないSRAMを購入してしまった経緯で実施したもので、部品点数も多く、実施はお勧めできません。
128KB増設の場合、Miyuraさんが山爺さんと意見交換しつつ実施・公開されているメモリ増設記事の方が部品点数も少なく、改造も簡易に済みますので、新規で行う場合はこちらを推奨します。
と・・ここまでが2011年暮れに実施した内容です。(おさらい終了)
年末年始の休みを利用してフラットキーの再生を行いました。なんと9年越しの工作となります。我ながらこの放置っぷりには呆れてしまいます・・
フラットキーの配線図は下記の通りです。実測したキーピッチは11mm間隔なので薄型かつ小型のタクトSWが必要になります。
部品は以前、aitendoで購入した小型(5.1mm×5.1mm)のタクトスイッチを利用しましたが、どうやら既に売っていない様です。
私以外に実施する人がいるとは思えませんが、こういうものを利用すると良いかもしれません。
○利用部品(案)
★3.1x3.1★みにタクトスイッチ
ユニバーサル基板(163x63)
(1)まず、小型(5.1mm×5.1mm)のタクトスイッチ13個を切りだしたユニバーサル基板に並べて配線しました。何とか本体の溝(143×12mm)に収まったようです。
(2)次に PB-1000から引き出したコードに接続しました。
以前引き出したコードが太く、かなり不格好になってしまいました。(不器用ですみません・・)
(3)タクトスイッチのボタン部分のみを露出させるため、1mmのプラ角材(タミヤ製)をフレーム代わりに接着。
(4)元のフラットキーと貼り合わせて裏面をテープで固定します。
めっちゃ不格好ですみません・・
(5)仕上げ(誤魔化し?)にダイソーのインテリアシート(レザー調/黒)を貼って、PB-1000に固定して完成です。
違和感バリバリですが、動作はキチンとできるようになりました。
○9年ぶりの修理を終えて・・
フラットキーが少し出っ張っている状況ではありますが、9年越しで再生したフラットキーの操作性も良好で、フルRAM実装かつ全機能が動作するようになり、個人的に満足しています。(いちおう折りたためます!)
なんとか2020年内に修理できた事で、2021年の正月休みはPB-1000でゲームをやったりと楽しめそうです!
・・と考えていた時期が僕にもありました・・(おぃ
フラットキーの再生を行った後、ミサイルファントムやったり、HYPER JUMPやったり、PAYOPAYO Plusをやったりと楽しんでいたら、突然FA-7が故障しました。
状況としては、ACアダプタ接続でPB-1000の電源を入れたところ、「パン!」と音がして焦げたような匂いがFA-7から漂ってきて、
その後、FA-7が完全に沈黙(電源が入らない)・・という絶望的な状況。。。(涙)
さすがにビックリしました。
すぐにPB-1000を取り外して動作確認したところ、幸いダメージは無し。
死霊騎士ヴァイオも普通に動作。
FA-7の裏ブタを外して基板(匂い?)を確認したところ、「2SK612」とシルクにある部品が焼損(焦げた匂いが)していました。
この部品名"2SK612"で調べてみたところ、パワーMOSFETと呼ばれる素子で、定電圧のスイッチングを行う部品の様でした。恐らく電源が入らなくなった直接の原因はこの素子の焼損と見て間違いなさそうでしたので、若松通商で部品(2SK612)を購入。
○若松通商
FET 2SK612 (税込 107円)
週末、部品が届いたので交換してみる事にしました。
基板を裏返して該当部品のハンダ(赤丸箇所)を除去して、元々付いていた2SK612を取り外します。
左が取り外した部品です。焼損によりパッケージが割れていました。
取り外した箇所に新品を実装します。
PB-1000と接続して、電源を入れると・・
LEDが点灯。無事、電源ONになりました!!
その後、RS232C通信も動作することを確認。助かったーー!
○修理完了しましたが・・
30年以上も問題なく使ってきたのに急に故障となり、驚くと同時に少々心配になりました。
と言うのも、利用していたACアダプタは純正品(Casio AD-4175)ではなく、
FA-7の裏ブタにある定格電力(9V 1.4W)と似た出力(9V 800mA)のものでしたので・・。
今さらになりますが、純正品(Casio AD-4175)の定格を調べてみたところ、なんと7V 800mA出力と言うことが判明・・。つまりメーカーの想定より高めの電圧で運用していた事になります。
○MSX wiki(ACアダプタの画像あり)
Casio AD-4175
ただ、2SK612のデータシートを見る限り、ゲート・ソース間電圧が+-20Vと記載されており、9V程度で焼損することはなさそうです。(恐らく~15V程度は安全範囲と思われる)
実際、購入(1988年)から30年以上問題なかったですし。。
原因は経年劣化だったのではないかと想定されますが、定格外の使い方をしていたことも事実なため、他の部品の劣化も考慮すると、今後はあまり無理はさせない方が良いと判断。
かつ、今から純正品(Casio AD-4175)を中古で入手しても、定格通りの電力値が出力できる保証もないため、7.5VのACアダプタを新たに購入することにしました。
○購入したもの
SUCCUL ACアダプター 7.5V 1A出力 PSE取得品
TRUETONE エフェクター用変換プラグ 極性反転
→7.5V出力でセンターマイナス極性の製品が見つけられ無かったので、
極性反転用の変換プラグも購入。
実物は思ったよりコンパクトでした。
テスターで出力電圧を確認したところ、7.5Vきっちり出ています。
FA-7およびMD-100Aに(極性反転して)繋いでみましたが、無事動作しました。
これで今後も元気に動いてくれると良いなあ・・。
元々ちょっとしたアプリの動作確認のつもりで気楽に始めたのですが、気が付けば大騒ぎ?でした。
何というか、昔の機器は使わず放置すると色々ダメになってしまっている事が多いですね。
今時、PB-1000の基板間にジャンパ飛ばしてみたり、フラットキーを再生したり、FA-7が燃えたりする人は、ほぼいない?と思いますが、
この記事が役に立つこと(もあるかも・・?)を切に願っています。
@あお
その後、MD-100Aも元気に動いています!
(30年も使って、1DD 1枚しか消費してないのもどうなんでしょう・・?)